成人の愛着スタイルは医学的診断名ではありません。愛着タイプだけで、受ける療法、回数、効果を決めることはできません。
暴力、脅迫、監視、経済的拘束、話した内容への報復の不安がある場合は、共同面接より安全確保と個別相談を優先してください。
カップルセラピーは、関係について二人で話し合う支援の一つです。関係を必ず修復する方法ではなく、継続や別離など特定の結論を前提にするものでもありません。双方の自発的な参加と、安心して話せる条件が重要です。
期待できることと限界
カップル療法の無作為化試験をまとめたメタ解析では、平均として関係満足度の改善が報告されています。一方で、研究間の違いや出版バイアスの可能性があり、特定の二人の結果や必要回数は予測できません(2018年のメタ解析)。
成人の愛着傾向は面接や自己記入尺度で研究されていますが、測定法は複数あります。タイプ名だけで「追う側」「逃げる側」の内面や原因を決めたり、特定の療法との相性を断定したりはできません(成人愛着尺度のレビュー)。
共同面接より安全を優先する場合
親密な関係での暴力には、身体的・性的暴力だけでなく、心理的な威圧や支配的な行動も含まれます。支援者には、本人の話を聴き、安全を高め、必要なサービスへつなぐ対応が求められます(WHOの臨床・政策向け手引き)。
相談への同行を強制される、個別に話せない、帰宅後の報復が怖い、別れ話で危険が高まりそうな場合は、一人でDV相談+へ相談してください。差し迫った危険は110番、負傷や急病は119番です。
相談先を選ぶときの確認事項
- 担当者の氏名、資格、所属、カップル支援の訓練・経験
- 初回評価で安全、心身の状態、双方の希望を確認するか
- 合同面接と個別面接の守秘、二人の間で秘密をどう扱うか
- 方法、費用、キャンセル規定、記録、オンライン時のプライバシー
- 緊急時対応、悪化時の見直し、医療・DV・法律相談への紹介方針
日本で公認心理師を名乗れるのは登録を受けた人です。制度の概要は厚生労働省の公認心理師ページで確認できます。資格だけで支援の質を保証するものではないため、対象領域の経験や監督体制も尋ねてください。
開始後も見直してよい
最初に、二人それぞれの目標と「何をもって見直すか」を確認します。どちらかが話せなくなる、非難が強まる、症状が悪化する、費用負担が続かない、守秘や境界に疑問がある場合は担当者へ伝え、方法の変更、中止、個別支援や別機関への紹介を相談してください。
不安、抑うつ、PTSD、依存症、身体症状などが疑われる場合は、カップル支援とは別に医療評価が必要なことがあります。自傷・自殺の危険が差し迫るときは119番へ。電話やSNSの公的案内は厚生労働省「まもろうよ こころ」で確認できます。
よくある質問
愛着スタイルの診断を受けてから相談すべきですか?
必要ありません。成人の愛着スタイルは医学的診断名ではなく、カップルセラピーの適否を単独で決める検査でもありません。現在の困りごと、双方の希望、安全性を相談時に伝えてください。
パートナーが参加を望まない場合はどうしますか?
参加を強制せず、自分だけで医療・心理・生活相談を利用できます。個人相談によって相手を変えられるとは限りませんが、自分の安全、選択肢、支援先を整理できます。
暴力や威圧があっても二人で相談できますか?
共同面接が安全とは限りません。暴力、脅迫、監視、経済的拘束、相談内容への報復の不安がある場合は、まず一人でDV相談窓口や緊急機関へ相談してください。緊急時は110番です。
何回受ければ関係が改善しますか?
必要回数や結果を一律には予測できません。目標、方法、費用、見直す時期、中止や他機関紹介の条件を開始前に確認し、改善がない場合や悪化した場合は再評価してください。
※一般的な情報提供を目的としています。個別の診断、治療、法律上の助言ではありません。