成人の愛着傾向は医学的診断名ではありません。オンライン診断から、治療の必要性、変化する期間、原因、予後を判定することはできません。
成人の愛着傾向には、ある程度続く面と、時間や関係、生活上の出来事とともに測定値が変わる面の両方が報告されています。「一生変わらない」「特定の方法で必ず変わる」のどちらも、研究から個人にそのまま当てはめることはできません。
研究が示すのは集団の傾向
成人を6年間追跡した研究では、愛着の測定値に安定性と変化の両方が確認されました(6年間の縦断研究)。4,000人超を調べた別の縦断研究では、生活上の出来事の前後に変化する人がいる一方、変化の方向や持続には個人差がありました(生活上の出来事と愛着変化の研究)。
これらは集団レベルの関連を調べた観察研究であり、出来事が変化の原因だと証明したり、特定の人がいつ変わるかを予測したりするものではありません。
測り方によって扱う内容が異なる
成人愛着には自己記入尺度や面接法など複数の測定法があり、関係全般を尋ねるもの、特定の相手との関係を尋ねるものなどがあります(成人愛着尺度のレビュー)。一度の結果の上下を「治った」「悪化した」と判定する共通基準はありません。
反応性愛着障害や脱抑制型対人交流症は、特定の養育歴などを含め子どもについて専門家が評価する障害で、成人愛着の質問票とは別です(NICEの子どもの愛着に関するガイドライン)。
相談では現在の困りごとを扱う
「愛着が変わったか」を採点する代わりに、相談では次のような具体的な変化を共有できます。
- 不安、抑うつ、怒り、睡眠、食事、自傷などの症状
- 仕事、学業、家事、人間関係への影響
- 症状が始まった時期、頻度、起こりやすい状況
- 受けている治療、服薬、副作用、費用や通院の負担
- 自分が望む生活上の変化と、避けたい方法
不安症、うつ病、PTSD、神経発達症、身体疾患などが併存または別に存在することもあります。生活への支障が続く場合は、愛着タイプだけに絞らず医療・心理の専門家へ相談してください。
支援を受けているときの見直し
心理療法中の愛着表象の変化をまとめた系統的レビューでは変化を示す研究がある一方、研究の異質性が高く、より厳密な研究が必要とされています(2014年の系統的レビュー)。愛着タイプだけを対象に療法や期間を決める根拠にはなりません。
効果を感じない、症状が悪化する、費用や時間の負担が大きい場合は、目標、診断、方法、副作用、担当者との協働関係を見直し、変更・中止・別機関への紹介を相談できます。処方薬は自己判断で変更・中止しないでください。
つらさが強いとき
自傷や自殺の危険が差し迫るときは119番へ。電話・SNS相談は厚生労働省「まもろうよ こころ」で確認できます。
※一般的な情報提供を目的としています。個別の診断、治療、変化の予測を行うものではありません。