
「愛着スタイルの4分類」と検索すると、あるページには安定型・不安型・回避型・恐れ回避型と書かれ、別のページには安定型・回避型・アンビバレント型・無秩序型と書かれています。さらに「未解決型」「混乱型」「とらわれ型」「愛着軽視型」という言葉まで出てきて、どれが正しい4分類なのか分からなくなった人も多いはずです。
先に結論を書きます。愛着の「4分類」は、少なくとも3つの別々の系統があります。赤ちゃんを観察して分ける子どもの分類(A・B・C・D)、大人に生い立ちを語ってもらい、その語り方で分ける面接の分類(自律型・愛着軽視型・とらわれ型・未解決型)、そして大人が自分で答える質問紙の分類(安定型・とらわれ型・拒絶回避型・恐れ回避型)です。名前が似ていても、測っているものも、測る方法も違うため、1対1には対応しません。とくに「恐れ回避型=無秩序型」という書き方は、研究の上では正確ではありません。
この記事では、それぞれの4分類がどこから来たのかを年代順にたどり、どこが対応してどこが対応しないかを1枚の表にまとめます。そのうえで、研究が示す割合の目安、当サイトの診断48,423人の内訳、混合型という考え方、自分の傾向の見分け方、そして愛着スタイルが大人になってからも変わりうることまでを扱います。
この記事の位置づけ。「安定型」「不安型」「回避型」「恐れ回避型」「無秩序型」「未解決型」は、愛着理論(Bowlby、Ainsworth、Main、Hazan & Shaver、Bartholomew & Horowitz、Brennan ら)の研究で使われる分類や傾向の呼び名で、医学的な診断名ではありません。医学の「愛着障害」(反応性アタッチメント障害など)とは別の話です。事実(論文・書籍で確認できる内容、当サイトの診断の実数)、考察(研究をもとにした運営の読み解き。臨床心理士が監修)、未確定(研究者の間でも結論が出ていない点)を分けて書いています。
この記事は自分や身近な人を「〇〇型だ」と決めつけるためのものではありません。無秩序型や未解決型の話は、虐待や喪失、暴力の記憶に触れることがあります。読んでいてつらくなったら、途中でやめてかまいません。いま暴力や脅しを受けている場合は、警察相談専用電話(#9110)やDV相談ナビ、子どもへの虐待が心配なときは児童相談所虐待対応ダイヤル(189)へ。気分の落ち込みや不眠が2週間以上続くときは、医療機関や精神保健福祉センターに相談してください。
この記事でわかること
- 「愛着スタイルの4分類」に3つの系統があること(子どもの観察・大人の面接・大人の質問紙)と、それぞれの生まれた経緯
- エインズワースの3分類(A・B・C)に、メインとソロモンが4つ目の「D=無秩序・無方向型」を加えた理由
- 成人愛着面接(AAI)の「未解決型」とは何か。「不安型 未解決型」という組み合わせの意味
- ハザンとシェイバーの3分類から、バーソロミューの4分類、不安と回避の2次元モデル(ECR)への流れ
- 各分類の対応表と、「恐れ回避型=無秩序型」「混乱型=恐れ回避型」ではない理由
- 研究が示す割合の目安と、当サイトの診断48,423人の内訳、そして両者がずれる理由
- 混合型・グラデーションという考え方、自分の傾向の見分け方、愛着スタイルが変わる条件
結論 — 「4分類」は3種類ある
まず全体の地図を置きます。細かい説明は後の節に回し、ここでは「どの4分類の話をしているのか」を見分けられるようにしておきます。
| 系統 | 誰を | どう測る | 4つの名前 | 主な提唱者 |
|---|---|---|---|---|
| 子どもの分類 | 1歳前後の乳児と養育者 | 実験室で短い分離と再会を観察する(ストレンジ・シチュエーション法) | B 安定型/A 回避型/C アンビバレント(抵抗)型/D 無秩序・無方向型 | Ainsworth ら(1978)、Main & Solomon(1986・1990) |
| 大人の面接の分類 | 大人(多くは親) | 生い立ちを1時間ほど語ってもらい、話の内容より「語り方のまとまり」を読む(成人愛着面接 AAI) | 自律型/愛着軽視型/とらわれ型/未解決型 | George, Kaplan & Main、Main & Goldwyn |
| 大人の質問紙の分類 | 大人(主に恋愛・親しい関係) | 自分で文章を読んで当てはまる程度を答える | 安定型/とらわれ型(不安型)/拒絶回避型(回避型)/恐れ回避型 | Hazan & Shaver(1987、3分類)、Bartholomew & Horowitz(1991、4分類) |
さらに、質問紙の研究はその後、型に分けるのではなく「見捨てられ不安」と「親密さの回避」の2つの物差しの点数で人を表す方向に進みました(Brennan, Clark & Shaver, 1998 の ECR)。いまの研究の主流はこの2次元モデルで、4つの型はその平面を4つに区切った目安として使われています。
当サイトの4タイプはどれにあたるか
当サイトの愛着MBTI診断で使っている安定型・不安型・回避型・恐れ回避型は、3つ目の系統、つまり大人の質問紙の4分類にあたります。バーソロミューの「とらわれ型」を不安型、「拒絶回避型」を回避型と呼び替えています。子どもの無秩序型や、面接の未解決型を直接測るものではありません。
「どの4分類か」を確かめる3つの問い
ネットの記事や本で4分類を見かけたら、次の3つを確かめると、どの系統の話かがほぼ分かります。①対象は子どもか大人か。②観察か、面接か、自己回答の質問紙か。③「無秩序」「未解決」という言葉が入っているか。③が入っていれば、子どもの観察か大人の面接の系統です。恋愛の悩みの記事で「無秩序型」と書かれている場合は、系統が混ざっている可能性があります。
分類の前に — 愛着スタイルとは何を分けているのか
愛着(アタッチメント)とは、怖いとき、不安なときに、特定の相手に近づいて安心を取り戻そうとする仕組みのことです。イギリスの精神科医ジョン・ボウルビィが体系立て、心理学者メアリー・エインズワースが観察の方法を作りました。安心を取り戻す相手のことを安全基地と呼びます。
分けているのは「不安になったときの動き方」
愛着スタイルの分類が見ているのは、性格の明るさや社交性ではありません。不安になったとき、大切な相手に対してどう動くかです。まっすぐ頼るのか、頼りたい気持ちを抑えて一人で処理するのか、相手の反応を確かめ続けるのか、近づきたいのに近づくと怖くなるのか。分類はこの「動き方の型」を名前にしたものです。
「組織化された型」と「組織化されていない状態」
この記事で何度も出てくる大事な区別があります。安定型・回避型・アンビバレント型は、それぞれ筋の通った作戦を持っています。回避型の子は「頼っても応えてもらえないなら、頼らないで済ませる」、アンビバレント型の子は「応えてもらえるか分からないなら、強く訴え続ける」。これらは組織化された(organized)作戦と呼ばれます。一方、無秩序型は、その作戦が一時的に崩れてしまう状態を指します。この違いが、後で「恐れ回避型=無秩序型ではない」という話につながります。
分類は「その人の全部」ではない
もう一つの前提として、愛着スタイルは関係ごとに違いうることが分かっています。母親には安定、恋人には不安、職場の上司には回避、ということは珍しくありません。後で紹介するフレイリーらの研究(Fraley et al., 2015)も、母・父・恋人・友人といった関係ごとの愛着を別々に測っています。「私は〇〇型」という言い方は便利ですが、実際には「この関係では〇〇寄り」くらいの意味で受け取るのが正確です。
子どもの分類① エインズワースのA・B・C(ストレンジ・シチュエーション法)
「エインズワース 愛着スタイル」で検索する人が知りたいのは、ここです。エインズワースと共同研究者は、1歳前後の赤ちゃんと母親を実験室に招き、見知らぬ人の登場、母親の退室と再入室を含む短い場面を順番に経験してもらいました。これをストレンジ・シチュエーション法と呼びます。成果は1978年に『Patterns of Attachment(愛着のパターン)』(Ainsworth, Blehar, Waters & Wall)としてまとめられました。
見ていたのは「泣くか」ではなく「再会のしかた」
この方法の要は、母親が戻ってきた再会の場面です。母親がいなくなって泣くかどうかは、子どもの気質によって大きく違います。けれど、戻ってきた母親に対してどうふるまうかには、それまでの親子のやりとりの歴史が表れる、とエインズワースは考えました。
| 型 | 再会したときの子ども | 子どもの作戦(読み解き) | 大人の質問紙で近い型 |
|---|---|---|---|
| B 安定型 | 近づいて安心を求め、落ち着くとまた遊びに戻る | 困ったら頼れば応えてもらえる | 安定型 |
| A 回避型 | 母親を見ない、近づかない、おもちゃに目を向け続ける | 頼っても応えてもらえないなら、頼る気持ちを表に出さない | 回避型(拒絶回避型)に近い |
| C アンビバレント(抵抗)型 | 強く抱っこを求めるのに、抱かれると怒って押しのける。なかなか落ち着かない | 応えてもらえるか分からないので、強く訴え続ける | 不安型(とらわれ型)に近い |
回避型の赤ちゃんは「平気」なわけではない
A型の赤ちゃんは、一見すると母親がいなくても平気そうに見えます。けれど、その後の研究では、表に出ないだけで体の反応としてはストレスを感じていることが示されてきました。大人の回避型が「一人で平気」と言うときにも、似たことが起きていると考えられます(考察)。詳しくは回避型とはで扱っています。
3分類に収まらない子どもがいた
エインズワースの3分類は画期的でしたが、研究が広がるにつれ、どの型にもきれいに当てはまらない子どもがいることが分かってきました。とくに、虐待やネグレクトのある家庭の子どもを調べた研究で、無理に3分類に入れると「安定型」に分類されてしまう子どもがいる、という問題が出てきました。これが4つ目の分類の出発点です。
子どもの分類② 4つ目の「D=無秩序・無方向型」
カリフォルニア大学バークレー校のメアリー・メインとジュディス・ソロモンは、既存の記録を見直し、3分類に収まらない子どもたちに共通するふるまいを整理しました。1986年に無秩序・無方向型(disorganized/disoriented、D型)として発表し(Main & Solomon, 1986)、1990年に判定の手順をまとめています(Main & Solomon, 1990)。「愛着スタイル 無秩序型」「混乱型」と呼ばれるのは、もともとはこの子どもの分類です。
無秩序型の子どもに見られるふるまい
- 母親に近づこうとして、途中で止まる。顔をそむけたまま後ずさりで近づく
- 母親が戻ってきた瞬間に、固まる、ぼんやりする、動きが止まる
- 抱っこを求める動きと、離れようとする動きが同時に、あるいは立て続けに出る
- 母親の前で、怖がっているような表情や姿勢を見せる
これらは長く続くものではなく、数秒から数十秒の短い乱れであることが多いとされます。そのため、D型は多くの場合、A・B・Cのどれかと組み合わせて判定されます(たとえば「D、次に近いのはB」)。
「逃げ場も、頼る先も同じ人」というジレンマ
なぜこうしたふるまいが起きるのか。メインとヘッセ(Main & Hesse, 1990)は、安心の源であるはずの親が、同時に恐怖の源にもなっているとき、子どもは解決できないジレンマに置かれると考えました。怖いときには親に近づくのが愛着の仕組みです。けれど、怖さの原因が親自身だと、近づくことも離れることもできません。作戦そのものが成り立たなくなるため、ふるまいが「無秩序」になるのです。
「おびえさせる」だけでなく「おびえている」親も
ここで大切なのは、メインとヘッセが挙げたのが、子どもをおびえさせる(frightening)親のふるまいだけでなく、親自身がおびえている(frightened)ふるまいも含んでいた点です。親が過去の喪失やトラウマを消化しきれず、ふとした瞬間に固まったり、怯えた表情を見せたりすることも、子どもにとっては「安心の源が揺らぐ」体験になりうる、という考え方です。無秩序型は虐待だけで生じるわけではなく、親に悪意があるとは限りません。
無秩序型はどのくらいいるのか
ファン・アイゼンドールンら(van IJzendoorn, Schuengel & Bakermans-Kranenburg, 1999)は、約80の研究・6,000組以上の親子をまとめ、一般的な中流家庭の乳児では約15%が無秩序型のふるまいを示し、ほかの社会的な状況や臨床群、たとえば虐待のある家庭では、その割合が2倍から3倍になりうると報告しました。また無秩序型は、のちの行動の問題のリスクと結びついていました。ただしこれは「リスクが上がる」という集団の話で、無秩序型の子どもが必ず問題を抱えるという意味ではありません。
大きくなると「親を仕切る子」になることがある
乳児期に無秩序型だった子どもが6歳ごろになると、親を叱りつけたり、逆に親の世話を焼いたりして、関係の主導権を子どもが握る統制的(controlling)なふるまいを見せることがある、とメインとキャシディ(Main & Cassidy, 1988)は報告しました。予測できない親のもとで、子どもが自分なりの秩序を作ろうとした結果と読むことができます(考察)。大人になってからの「親の機嫌を管理する役」についてはアダルトチルドレンの記事とも重なります。
大人の分類① 成人愛着面接(AAI)の4分類
子どもの分類ができると、研究者は次に「親の側の愛着は、どう測ればいいのか」と考えました。大人を実験室で母親から引き離しても意味がありません。そこでメインたちが作ったのが、成人愛着面接(Adult Attachment Interview、AAI)です。面接の手順はジョージ、カプラン、メインが作り、判定の方法はメインとゴールドウィンが整えました。その考え方は、メイン、カプラン、キャシディの1985年の論文(Main, Kaplan & Cassidy, 1985)で広く知られるようになりました。
「何を語るか」ではなく「どう語るか」
AAIでは、子どものころの親との関係を1時間ほど語ってもらいます。「母親との関係を表す形容詞を5つ挙げて、それぞれの具体的な思い出を話してください」といった質問が続きます。判定の決め手は、子ども時代が幸せだったかどうかではありません。語りに一貫性があるか、形容詞と具体的な思い出が食い違っていないか、話が脱線したり過去の怒りに飲み込まれたりしていないか。つまり、自分の過去をどれだけ「消化できているか」を、語り方から読み取ります。
| AAIの分類 | 語り方の特徴 | よくある語りの例(要旨) | 乳児の分類との対応 |
|---|---|---|---|
| 自律型(安定・自律型) | つらい記憶も含めて、筋の通った形で語れる。愛着の大切さを認めている | 「母は厳しかったけれど、あの頃の母にも余裕がなかったと今は思う」 | 子どもはB 安定型になりやすい |
| 愛着軽視型(拒絶型) | 親を理想化するのに具体的な思い出が出てこない。「覚えていない」「影響はない」が多い | 「普通の家でした。特に何も。自分は自分で育ったので」 | 子どもはA 回避型になりやすい |
| とらわれ型 | 過去の親への怒りや混乱に語りが引き込まれ、話が長く、まとまりにくい | 「そうそう、あのときも母は…(今のことのように怒りが続く)」 | 子どもはC アンビバレント型になりやすい |
| 未解決型 | 喪失や虐待の話題になったときだけ、語りの筋道や時間の感覚が一時的に崩れる | 亡くなった人を現在形で語る、急に沈黙する、細部に異様にこだわる | 子どもはD 無秩序型になりやすい |
親の語り方と子どもの型はつながっている
AAIが注目を集めたのは、親の語り方の分類から、その親の子どもの分類をある程度予測できたからです。自律型の親の子は安定型に、愛着軽視型の親の子は回避型に、とらわれ型の親の子はアンビバレント型に、未解決型の親の子は無秩序型になりやすい、という対応が報告されてきました。ただし、この結びつきは決定的なものではありません。親から子への伝わり方については愛着と親子関係で詳しく扱っています。
AAIは誰でも受けられる検査ではない
AAIの判定には専門の訓練を受けた評定者が必要で、1件の判定にも時間がかかります。そのため、ネット上で「AAI診断」をうたう簡易テストがあったとしても、研究でいうAAIの分類とは別物と考えてください。当サイトの診断も含め、自己回答の質問紙はAAIの代わりにはなりません。
未解決型とは — 「不安型 未解決型」という言い方の意味
「愛着スタイル 未解決型」「不安型 未解決型」で検索する人は、どこかで「未解決型」という言葉を見て、自分に当てはまるのではと気になった人が多いようです。未解決型はAAIの分類の中でも特殊な位置にあるので、ここで独立して整理します。
未解決型は「上に重ねる」分類
未解決型(Unresolved、U または U/d)は、ほかの3つと横並びの分類ではありません。AAIではまず自律型・愛着軽視型・とらわれ型のどれかに分けたうえで、喪失やトラウマについて語るときに一時的な乱れがあるかを別に判定し、あれば「未解決型」を上に重ねます。そのため、「未解決型/次に近いのはとらわれ型」「未解決型/次に近いのは自律型」のような記録になります。
「不安型 未解決型」はどういう状態か
ネットで見かける「不安型 未解決型」という言い方は、研究の用語をそのまま使ったものではありませんが、読み替えるなら「全体としてはとらわれ型(不安型に近い)の語り方をしつつ、喪失やトラウマの話題では語りが一時的に崩れる」という状態に近いと考えられます(考察)。同じように「回避型 未解決型」「安定型 未解決型」もありえます。未解決型は、不安型の一種でも、恐れ回避型の別名でもありません。
「未解決」は「その人が壊れている」という意味ではない
未解決型という名前は強く聞こえますが、判定されるのは面接の中のごく一部の語りの乱れです。日常生活は問題なく送れている人も多く含まれます。大切な人を亡くして間もない人が、その話題で言葉に詰まるのは自然なことです。未解決型は「その体験がまだ心の中で整理の途中にある」というしるしと受け取るのが、研究の意図に近い読み方です。
| よくある誤解 | 研究での実際 |
|---|---|
| 未解決型は4つ目の独立した型だ | ほかの3分類に上から重ねる分類。単独では記録されない |
| 未解決型=恐れ回避型 | 未解決型は面接の語り方、恐れ回避型は自己回答の質問紙。測り方が違う |
| 未解決型の人は親として危険だ | 子どもの無秩序型のリスクと結びつくという集団の傾向で、個人の予言ではない |
| 自分で未解決型かどうか分かる | 訓練を受けた評定者がAAIの逐語録を読んで判定する。自己判定はできない |
喪失やトラウマの体験が今の生活に影響していると感じる場合は、愛着とトラウマの記事や、後半の相談先の節も参考にしてください。
大人の分類② 質問紙の3分類 — ハザンとシェイバー(1987)
AAIが「親としての愛着」を面接で測る道を開いたのと同じころ、まったく別の流れが社会心理学から生まれました。デンバー大学のシンディ・ハザンとフィリップ・シェイバーは、恋愛も愛着の一つの形ではないかと考え、1987年に論文「Romantic love conceptualized as an attachment process(愛着のプロセスとしての恋愛)」を発表しました(Hazan & Shaver, 1987)。
新聞の「恋愛クイズ」から始まった
最初の調査は、地元紙に掲載した恋愛についての質問票で、620人から回答が集まりました。回答者は、エインズワースの3分類を大人の恋愛向けに書き直した3つの短い文章から、自分に一番近いものを選びました。結果は、安定型56%、回避型25%、不安・アンビバレント型19%で、乳児研究の比率とよく似ていました。この一致が、大人の恋愛を愛着理論で読む研究の大きな出発点になりました。
3つの文章から1つ選ぶ方法の弱点
この方法は手軽ですが、弱点もありました。一つは、3つのうち1つしか選べないため、「どれも少しずつ当てはまる」人の情報が失われることです。もう一つは、回避型の中に性質の違う二種類の人が混ざっているのではないか、という疑問でした。この二つ目の疑問に答えたのが、次のバーソロミューです。
大人の分類③ バーソロミューの4分類 — 自己観×他者観
カナダの心理学者キム・バーソロミューは、1990年の論文で、親密さを避ける人には二種類あると指摘しました(Bartholomew, 1990)。一つは、人とのつながりを欲しているのに、傷つくのが怖くて避ける人。もう一つは、つながりの必要そのものを否定して一人で完結しようとする人です。前者を恐れ回避型(fearful)、後者を拒絶回避型(dismissing)と名づけました。
2×2の表で4つの型ができる
翌1991年、バーソロミューとホロウィッツは、自分をどう見ているか(自己観)と他人をどう見ているか(他者観)をそれぞれ肯定的・否定的に分け、組み合わせた4分類を提案しました(Bartholomew & Horowitz, 1991)。これが、現在ネットで最もよく見かける「愛着スタイルの4分類」の原型です。
| 他者観が肯定的(人は頼れる) | 他者観が否定的(人は頼れない) | |
|---|---|---|
| 自己観が肯定的(自分は愛される価値がある) | 安定型:親密さも自立も心地よい | 拒絶回避型:人に頼らず自分で完結したい |
| 自己観が否定的(自分は愛される価値がない) | とらわれ型(不安型):相手に受け入れられることで自分を保とうとする | 恐れ回避型:近づきたいが、拒まれるのが怖くて近づけない |
拒絶回避型と恐れ回避型の分かれ目
二つの回避型の違いは、一人でいることが快適か、寂しいのをこらえているかに表れやすいと考えられます(考察)。拒絶回避型は一人の時間に本当に満足していることが多く、恐れ回避型は一人でいながら、誰かとつながりたい気持ちを抱えています。二つの違いは回避型と恐れ回避型の違いで、拒絶回避型そのものは拒絶回避型とはで詳しく書いています。
名前が「AAI」と重なっているので注意
バーソロミューの「とらわれ型(preoccupied)」「拒絶型(dismissing)」は、AAIの「とらわれ型」「愛着軽視型(dismissing)」と英語の名前が同じです。バーソロミューはAAIの考え方を参考にしましたが、測っているのは自己回答の質問紙やインタビューでの自己の見方で、AAIの語り方の分析とは別物です。日本語の記事では両者がよく混ざるので、出典がどちらかを確かめてください。
2次元モデル — 「不安」と「回避」の2本の物差し
1990年代には、大人の愛着を測る質問紙が研究者ごとに乱立していました。ブレナン、クラーク、シェイバーの3人は、当時あった英語の尺度を集め、482項目から重複を除いた323項目を大学生に答えてもらい、因子分析という方法で整理しました(Brennan, Clark & Shaver, 1998)。
すべての尺度は2つの軸に集約された
結果、さまざまな尺度は、互いにほぼ独立した2つの軸にまとまりました。一つは見捨てられ不安(anxiety)、つまり「相手に見捨てられないか」「十分に愛されているか」を心配する程度。もう一つは親密さの回避(avoidance)、つまり「人に頼ること、深く近づくことが居心地悪い」程度です。この2軸を測る36項目の尺度が ECR(Experiences in Close Relationships)で、2000年には改訂版の ECR-R が作られました(Fraley, Waller & Brennan, 2000)。日本語版も作成されています(中尾・加藤, 2004)。
| 回避が低い | 回避が高い | |
|---|---|---|
| 不安が低い | 安定型の領域 | 拒絶回避型(回避型)の領域 |
| 不安が高い | とらわれ型(不安型)の領域 | 恐れ回避型の領域 |
4つの「群」はバーソロミューの4分類と重なった
ブレナンらが、2つの軸の点数で回答者を4つの群に分けたところ、その群はバーソロミューの4分類と概念的に対応していました。つまり、バーソロミューの2×2(自己観×他者観)と、ECRの2×2(不安×回避)は、ほぼ同じ平面を別の角度から見たものだと言えます。自己観が否定的なほど不安が高く、他者観が否定的なほど回避が高いと読み替えると分かりやすくなります。
境界線の近くにいる人は多い
2次元で考えると、型の境目のすぐそばにいる人がたくさんいることが見えてきます。不安がやや高く回避がやや低い人は、4分類では不安型に入りますが、安定型との差はわずかです。後で扱う「混合型」の感覚は、この境目の近くにいることから生まれることが多いと考えられます(考察)。
【対応表】4つの分類はどこまで対応するのか
ここがこの記事の中心です。子どもの観察、大人の面接、大人の質問紙、2次元の点数を1枚に並べます。横に並んでいても「同じもの」ではなく、「理論上の親戚」だと読んでください。
| 子ども(ストレンジ・シチュエーション法) | 大人・面接(AAI) | 大人・質問紙(Bartholomew の4分類) | 2次元(ECR) | 当サイトの呼び名 |
|---|---|---|---|---|
| B 安定型 | 自律型 | 安定型 | 不安 低・回避 低 | 安定型 |
| A 回避型 | 愛着軽視型 | 拒絶回避型 | 不安 低・回避 高 | 回避型 |
| C アンビバレント(抵抗)型 | とらわれ型 | とらわれ型 | 不安 高・回避 低 | 不安型 |
| (対応する型なし) | (対応する型なし) | 恐れ回避型 | 不安 高・回避 高 | 恐れ回避型 |
| D 無秩序・無方向型(A・B・Cに重ねて判定) | 未解決型(3分類に重ねて判定) | (対応する型なし。独立の尺度を作る試みはある) | 2軸では直接とらえにくい | (診断では測っていない) |
対応するところ — 上の3行
安定・回避・アンビバレント(とらわれ)の3つは、子どもから大人まで、理論の上ではきれいに並びます。どの系統でも、安定型は「頼ることと一人でいることの両方ができる」、回避型は「頼る気持ちを抑える」、とらわれ型は「相手の反応を確かめ続ける」という作戦を共有しています。
対応しないところ① 恐れ回避型には子どもの「対」がない
恐れ回避型は、バーソロミューが大人の回避型を二つに分けたときに生まれた型です。エインズワースのA・B・Cにも、AAIの3分類にも、そのまま対になる型はありません。そのため、「恐れ回避型は子どものD型が大人になったもの」という説明は、分かりやすい反面、研究の裏づけがある対応関係とは言えません(後の節で詳しく扱います)。
対応しないところ② 無秩序型・未解決型は「重ねる」分類
D型と未解決型は、どちらも組織化された作戦が一時的に崩れる状態を指し、ほかの型に重ねて判定されます。一方、質問紙の4分類は4つが横並びで、一人は必ずどれか一つに入ります。仕組みが違うため、同じ列に置くこと自体に無理があります。
対応しないところ③ 面接と質問紙は、同じ人でも結果がずれる
さらに重要な事実があります。ロイスマンら(Roisman et al., 2007)が、AAIと自己回答の愛着尺度を同じ人に行った研究をまとめたところ(合計961人)、AAIの安定性と質問紙の2次元との相関は平均 r = .09 と、ごく小さいものでした。つまり、面接で自律型と判定された人が、質問紙で安定型になるとは限りません。二つは「同じ愛着を別の方法で測ったもの」というより、かなり違う側面を測っていると考えるのが今の理解です。
この表をどう使えばいいか
自分の傾向を知りたいときは、いま何を知りたいのかによって見る列を選んでください。恋人や友人との関係でのくせを知りたいなら質問紙の列(当サイトの4タイプもここ)。自分が子どもにどう接しやすいかを専門的に知りたいなら面接の列(専門家のもとで)。わが子の様子が心配なら子どもの列ですが、判定は専門家の仕事で、家庭で親が判定できるものではありません。
「恐れ回避型=無秩序型」ではない理由

「恐れ回避型 混乱型」「愛着障害 無秩序型 大人」で検索すると、恐れ回避型を「無秩序型」「混乱型」と言い換えている記事が多く見つかります。気持ちとしては分かる言い換えです。近づきたいのに怖い、という揺れは、外から見ると「混乱」しているように見えるからです。けれど研究の上では、両者は区別されています。
恐れ回避型は「組織化された」作戦
恐れ回避型は、不安も回避も高い、という一貫した傾向です。本人の中では「近づけば傷つくから、傷つく前に距離を取る」という筋の通った作戦が動いています。一方、無秩序型は、作戦そのものが一時的に崩れる状態です。前者は「揺れの型」、後者は「型の崩れ」と言い換えることができます(考察)。
研究者も区別すべきだと述べている
パエツォルド、ロールズ、コーンは2015年の論文で、大人の無秩序な愛着の理論と測定を整理し、無秩序型の中心にある「愛着対象そのものへの恐れ」や関係についての混乱は、恐れ回避型の「拒まれることへの恐れ」とは別のものだと論じました(Paetzold, Rholes & Kohn, 2015)。そのうえで、大人の無秩序さを測る独自の尺度を作り、それが恐れ回避型とは異なる形で問題行動を予測することを示しています。つまり、大人の無秩序さを測りたいなら、恐れ回避型の点数で代用するのではなく、別の物差しが必要だということです。
| 比べる点 | 恐れ回避型 | 無秩序型(大人の無秩序な愛着) |
|---|---|---|
| 何が怖いのか | 拒まれること、傷つけられること | 頼りたい相手そのもの。安心の源が同時に恐怖の源 |
| 作戦 | 近づく→怖くなる→離れる、という一貫した揺れ | 作戦が一時的に崩れる。固まる、頭が真っ白になる |
| 本人の自覚 | 「近づきたいのに怖い」と言葉にしやすい | 「なぜそうしたのか自分でも分からない」と感じやすい |
| 主な測り方 | 自己回答の質問紙(ECR、RQ など) | 子どもは観察、大人はAAIの未解決型や、専用の尺度 |
| 関係の深さ | 重なる部分はあると考えられる | 重なる部分はあると考えられる(関係の強さは研究途上) |
「重なりがない」わけでもない
ただし、両者がまったく無関係というわけでもありません。子ども時代に安心と恐怖が同じ相手から来る経験をした人が、大人になって恐れ回避型の傾向を持つことはありうると考えられています。「イコールではないが、重なることはある」というのが、今のところ最も正確な言い方です(未確定)。恐れ回避型の揺れそのものは近づきたいのに怖い心理や恐れ回避型の恋愛で扱っています。
なぜ区別が大事なのか
区別が大事なのは、自分を必要以上に重く見ないためです。恐れ回避型の傾向がある人が「自分は無秩序型だ」「愛着障害だ」と思い込むと、自分の中にある筋の通った作戦、つまり変えていける部分が見えなくなります。恐れ回避型は、組織化された傾向である以上、どこで怖くなり、どこで離れるかを観察して、少しずつ書き換えていける型です。
呼び名の整理 — 混乱型・無秩序型・未解決型・恐れ回避型
日本語の記事では、同じ英語が違う訳語で紹介されたり、違う英語が同じ訳語で紹介されたりしています。検索の言い方ごとに、何を指している可能性が高いかをまとめます。
| 見かける呼び名 | 元の英語 | どの系統か | 当サイトの4タイプとの関係 |
|---|---|---|---|
| 無秩序型・無秩序/無方向型・D型 | disorganized/disoriented | 子どもの観察 | 直接の対応なし |
| 混乱型 | disorganized(の別訳) | 子どもの観察。大人の記事では恐れ回避型の意味で使われることも | 文脈で判断が必要 |
| 未解決型・未解決/無秩序型 | unresolved/disorganized | 大人の面接(AAI) | 直接の対応なし |
| 恐れ回避型・恐れ型・恐怖型 | fearful(-avoidant) | 大人の質問紙 | 恐れ回避型 |
| 拒絶回避型・拒絶型・愛着軽視型 | dismissing(-avoidant) | 大人の質問紙/AAI(同じ英語) | 回避型 |
| とらわれ型・没入型・不安型 | preoccupied/anxious | 大人の質問紙/AAI(同じ英語) | 不安型 |
| アンビバレント型・抵抗型 | ambivalent/resistant | 子どもの観察 | 不安型に近い |
| 自律型・安定自律型 | secure-autonomous | 大人の面接(AAI) | 安定型に近い |
「回避型」という言葉の二つの意味
とくに混乱が起きやすいのが「回避型」です。ハザンとシェイバーの3分類での回避型は、のちのバーソロミューの拒絶回避型と恐れ回避型の両方を含んでいます。古い本や記事で「回避型」と書かれているときは、恐れ回避型の人も含まれている可能性があります。当サイトの「回避型」は拒絶回避型の意味です。医学の回避性パーソナリティ障害との違いは回避性と回避型の違いで整理しています。
「〇〇型愛着障害」という呼び方について
ネットでは「不安型愛着障害」「回避型愛着障害」という言い方がよく使われます。当サイトにも、その検索の言い方で探している人向けの記事(不安型愛着障害、回避型愛着障害)がありますが、中身は愛着スタイルの傾向の話で、医学の診断名ではありません。医学の愛着障害との違いは後の節で扱います。
愛着スタイル4分類の割合 — 研究が示す目安
「愛着スタイル 4分類 割合」で検索する人は多いのですが、割合はどの系統の分類で、誰を対象に測ったかによって大きく変わります。確認できた代表的な数字を並べます。
| 研究 | 対象と方法 | 安定 | 回避系 | 不安・とらわれ系 | そのほか |
|---|---|---|---|---|---|
| van IJzendoorn & Kroonenberg(1988) | 8か国・32サンプル・1,990人の乳児(ストレンジ・シチュエーション法、3分類) | 65% | A 21% | C 14% | — |
| van IJzendoorn ほか(1999) | 約80研究・6,000組以上の乳児と親 | — | D 約15%(一般的な中流家庭)。虐待などの状況では2〜3倍になりうる | ||
| Hazan & Shaver(1987) | 新聞の質問票に答えた620人(自己回答、3分類) | 56% | 25% | 19% | — |
| Mickelson, Kessler & Shaver(1997) | アメリカの成人の全国代表サンプル(自己回答、3分類) | 59% | 25% | 11% | — |
| Bakermans-Kranenburg & van IJzendoorn(2009) | 北米の非臨床の母親(AAI) | 自律 58% | 愛着軽視 23% | とらわれ 19% | 未解決を重ねて判定された人 18% |
共通して見えること — 安定型は「半分強」
系統や国が違っても、一般の人を対象にした研究では、安定型がおおむね半分から6割前後、残りを回避系と不安系が分け合う、という形が繰り返し見られます。つまり、安定型以外の人は少数派ではあるものの、決して珍しい存在ではありません。
国による違いより、国の中の違いが大きい
ファン・アイゼンドールンとクローネンバーグ(1988)は、国ごとの比率の違いに注目が集まりがちなことに対し、同じ国の中のサンプル間の違いのほうが、国と国の違いより約1.5倍大きかったと報告しました。「日本人は〇〇型が多い」といった話は、どのサンプルを見たかで変わりやすいということです。
恐れ回避型の割合はなぜ研究で幅があるのか
恐れ回避型は3分類の研究には登場せず、4分類でも、用いる尺度や区切り方によって割合が大きく変わります。2次元の点数を4つに区切る場合、どこで線を引くかという研究者の判断で比率が動くためです。そのため、この記事では恐れ回避型の「一般人口での割合」として一つの数字を示すことは控えます。当サイトの割合の詳しい読み方は愛着スタイルの割合にまとめています。
当サイトの実数 — 診断48,423人の4分類
当サイトの愛着MBTI診断の結果(2026年9月27日時点・愛着×性格の実測データで公開)は、次のとおりです(事実)。
| タイプ | 人数 | 割合 | 質問紙の4分類での位置 |
|---|---|---|---|
| 安定型 | 14,537人 | 30.0% | 不安 低・回避 低 |
| 不安型 | 7,536人 | 15.6% | 不安 高・回避 低 |
| 回避型 | 6,639人 | 13.7% | 不安 低・回避 高 |
| 恐れ回避型 | 19,711人 | 40.7% | 不安 高・回避 高 |
| 合計 | 48,423人 | 100% | — |
研究の目安と大きくずれる理由(考察)
研究では安定型が半分強なのに対し、当サイトでは30.0%で、恐れ回避型が40.7%と最も多くなっています。この差には、いくつかの理由が考えられます。第一に、当サイトを訪れる人の多くは、恋愛や人間関係に悩んで検索してきた人です。悩みのある人ほど診断を受けやすいため、安定型以外の比率が高くなります。第二に、4分類の境目をどこに置くかで比率は動きます。第三に、診断は短い自己回答で、研究用の尺度とは項目の数も作り方も違います。
不安と性格の関係 — r = 0.57
同じデータでは、ビッグファイブの神経症傾向(情緒の揺れやすさ)と愛着不安の相関が r = 0.57(n=6,600)でした(事実)。見捨てられ不安が強い人ほど、全般に感情が揺れやすい傾向があるという、先行研究とも矛盾しない結果です。ただし、相関は因果を示しません。愛着と性格の関係はビッグファイブと愛着や神経症傾向と愛着で掘り下げています。
集計の限界
- 訪問者は愛着や恋愛心理に関心のある層に偏っていて、一般人口の分布を表すものではありません
- 診断は自己回答式の簡易な尺度で、ECR などの学術尺度や AAI、医学的な診断の代わりにはなりません
- 無秩序型・未解決型は測っていません。恐れ回避型の人数を「無秩序型の人数」と読み替えることはできません
- 同じ人が複数回受けた場合の重複を完全には除けていません
4分類それぞれの特徴 — 大人の関係での表れ方
「愛着スタイル 4分類 特徴」を、恋愛・友人・職場・一人の時間という4つの場面で比べます。ここからは、大人の質問紙の4分類(当サイトの4タイプ)の話です。
| 場面 | 安定型 | 不安型 | 回避型 | 恐れ回避型 |
|---|---|---|---|---|
| 返信が遅いとき | 忙しいのだろうと待てる | 嫌われたかと何度も画面を見る | 気にならない。自分も遅い | 不安になり、先に自分から距離を取る |
| 相手が落ち込んでいるとき | 話を聞き、必要なら手を貸す | 自分のせいかと心配になり、尽くしすぎる | どう接していいか分からず、正論や解決策を出す | 助けたいが、踏み込むと拒まれそうで固まる |
| けんかのあと | 時間を置いて話し合える | すぐに仲直りしたくて追いかける | 一人になって感情が静まるのを待つ | 関係ごと終わらせたくなる衝動と、つなぎとめたい気持ちが交互に来る |
| 職場 | 頼ることも任せることもできる | 評価を気にして頑張りすぎる | 一人で抱えて完結させる | 人の評価が怖いのに、助けを求められない |
| 一人の時間 | 楽しめる。誰かといる時間も楽しめる | 寂しさで落ち着かない | いちばん落ち着く | ほっとするが、同時に寂しい |
安定型 — 頼ることと一人でいることを両方できる
安定型の特徴は、完璧に落ち着いていることではなく、揺れても戻ってこられることです。不安になれば相手に言葉で伝え、一人の時間が必要なら素直にそう言えます。安定型にも疲れやすさや悩みはあり、それは安定型が疲れるときで扱っています。基本の姿は安定型の特徴へ。
不安型 — 相手の反応で自分の価値を確かめる
不安型は、相手の気持ちの変化に非常に敏感です。返信の速さ、声の調子、表情の小さな変化から「嫌われたのでは」と読み取り、確かめる行動を重ねます。恋愛での表れ方は不安型の恋愛、見捨てられる怖さそのものは見捨てられ不安で詳しく書いています。
回避型 — 近さを「自由の制限」と感じやすい
回避型は、人と深く関わることそのものより、頼られること、頼ることで自由が奪われる感覚を嫌います。冷たいのではなく、感情を一人で処理する方法を早くから身につけてきた人です。恋愛での姿は回避型の恋愛で扱っています。
恐れ回避型 — 近づきたいのに、近づくと怖い
恐れ回避型は、不安型の「つながりたい」と回避型の「離れたい」を両方抱えています。そのため、関係が深まりかけたところで急に距離を取る、優しくされるほど疑ってしまう、といった揺れが起きやすくなります。当サイトでは最も多い型で、恐れ回避型の整理や自分がわからない感覚でも取り上げています。
4つの型の中にある、さらに細かい違い
同じ不安型でも、怒りで訴える人と、黙って尽くす人がいます。4分類はあくまで大きな区切りで、中にはさらに細かい違いがあります。当サイトでは、その違いを12のプロファイルとして愛着スタイルのサブタイプにまとめています。
混合型・グラデーションという考え方
「愛着スタイル 混合」「安定型 回避型 混合」と検索する人の多くは、診断やセルフチェックで一つの型に決まりきらない感覚を持っています。結論から言うと、その感覚は研究の見方と一致しています。
大人の愛着は「型」より「連続量」に近い
フレイリーらは、2つの大きなサンプルで、大人の愛着が「はっきり分かれた型」として存在するのか、「なだらかに連続する量」として存在するのかを、分類構造を調べる統計の方法(タクソメトリック分析)で検討しました(Fraley, Hudson, Heffernan & Segal, 2015)。結果は、全般的な愛着でも、母・父・恋人・友人といった関係ごとの愛着でも、型よりも連続量のモデルのほうがよく当てはまるというものでした。これは、それ以前のフレイリーとウォーラー(1998)の結論とも一致します。
「混合型」は正式な型ではなく、境目にいる状態
つまり、「安定型と回避型の混合」という正式な型があるわけではありません。不安も回避もそれほど高くないけれど、回避がやや高めで、安定型と回避型の境目の近くにいる。これが「混合」と感じる状態の正体だと考えられます(考察)。境目の近くにいる人は、診断を受けるたびに結果が変わったり、2つのタイプの説明の両方にうなずいたりします。
| 「混合」と感じる組み合わせ | 2次元での位置(目安) | よくある実感 | 読むとよい記事 |
|---|---|---|---|
| 安定型+回避型 | 不安 低・回避 中くらい | 普段は落ち着いているが、深く頼られると引きたくなる | 拒絶回避型 |
| 安定型+不安型 | 不安 中くらい・回避 低 | 基本は安心しているが、相手の返事が遅いと揺れる | 不安型 |
| 不安型+恐れ回避型 | 不安 高・回避 中くらい | しがみつきたい気持ちと、傷つく前に離れたい気持ちが交互に来る | 近づいたり離れたり |
| 回避型+恐れ回避型 | 不安 中くらい・回避 高 | 一人が楽だが、ふとした瞬間に強い寂しさが来る | 回避型と恐れ回避型の違い |
相手によって型が変わるのも「混合」の一つ
もう一つの「混合」は、関係ごとに型が違うことです。親には回避、恋人には不安、友人には安定、という人は少なくありません。これは矛盾ではなく、それぞれの相手との歴史が違うためです。どの関係で困っているのかを具体的に考えると、自分に必要な対処が見えやすくなります。恋人との組み合わせについては安定型と回避型の相性、不安型と恐れ回避型の相性や不安型と回避型の相性が参考になります。
自分の愛着スタイルの見分け方 — 5つの手がかり
「愛着スタイル 見分け方」を知りたい人のために、日常の場面から自分の傾向を確かめる手がかりを並べます。診断ではなく、自分を観察するための問いとして使ってください。
| 手がかり | 自分に聞く問い | 「はい」が多いと近い方向 |
|---|---|---|
| ① 返事が来ないとき | 相手の返事が半日来ないと、理由をあれこれ考えて落ち着かない? | 不安が高い(不安型・恐れ回避型) |
| ② 頼られたとき | 恋人に毎日会いたいと言われると、うれしさより窮屈さが先に来る? | 回避が高い(回避型・恐れ回避型) |
| ③ 一人の時間 | 一人でいるとき、ほっとすると同時に寂しさも感じる? | 恐れ回避型寄り |
| ④ 弱ったとき | 体調が悪い日、誰かに「来てほしい」と素直に言える? | 「はい」なら安定型寄り |
| ⑤ けんかのあと | 時間を置いたあと、自分から話を切り出せる? | 「はい」なら安定型寄り |
不安の軸を確かめる
①のように、相手の気持ちが見えないときにどれだけ落ち着かなくなるかを思い出します。「気になるけれど、仕事をしているうちに忘れる」なら不安は低め、「ほかのことが手につかない」なら高めです。
回避の軸を確かめる
②のように、相手が近づいてきたときの体の反応を思い出します。窮屈さ、息苦しさ、話題を変えたくなる感覚が強いほど、回避は高めです。
2つを組み合わせて位置を置く
不安と回避の高さを、それぞれ「低い・中くらい・高い」でつけ、2次元の表のどこに近いかを見ます。境目の近くなら、無理に一つに決めなくてかまいません。
関係ごとに分けて考える
親、恋人、友人、職場で、それぞれ同じ問いを考えます。どこで一番揺れるかが、いま一番手当てが必要な関係です。
見分けるときに陥りやすい3つの誤り
- 一番つらかった時期の自分で答える — 失恋直後など、揺れが最大のときの自分を基準にすると、不安も回避も高めに出ます。ここ半年くらいの「普段」の自分で考えるのが目安です。
- なりたい自分で答える — 「本当は頼れる人でありたい」という気持ちが、答えを安定型に寄せます。実際の行動を思い出すと、ずれに気づけます。
- 型の名前で自分を説明しきる — 「回避型だから仕方ない」と型を言い訳にすると、変えられる部分まで固定されてしまいます。型は現在地を示す地図で、行き先を決めるものではありません。
相手の型を見分けたいとき
恋人やパートナーの型が気になる人も多いはずです。ただし、相手の型はあなたの観察からの推定で、確定はできません(未確定)。相手を型で決めつけるより、「どんな場面で距離を取るか」「どんな言葉で安心するか」を観察するほうが役に立ちます。回避型の相手の見分け方は回避型の見極め方で扱っています。
愛着スタイルは変わるのか — earned security(獲得された安定)

分類の話を読むと、「子どものころに決まった型は一生変わらないのか」と不安になる人もいるでしょう。研究の答えは、ある程度は続くが、変わる余地も大きいです。
20年追いかけた研究では、7割が同じ区分だった
ウォーターズら(Waters, Merrick, Treboux, Crowell & Albersheim, 2000)は、1歳でストレンジ・シチュエーション法を受けた60人のうち50人を20年後に追跡し、AAIで面接しました。安定か不安定かという大きな区分で見ると、72%が1歳のときと同じ区分でした。一方で、親の離婚や死別、深刻な病気といった出来事があった家庭では44%が区分を変えていたのに対し、そうした出来事がなかった家庭では22%でした。つまり、その後の経験によって型は動くということです。
「獲得された安定型」という人たち
AAIの研究では、子ども時代のつらい経験を語りながらも、その語りが筋道立っていて自律型と判定される人たちがいます。研究者はこの人たちを獲得された安定型(earned-secure)と呼びました。ピアソンら(Pearson, Cohn, Cowan & Cowan, 1994)は、獲得された安定型の親が、ずっと安定していた親と同じ質の子育てをしていたことを報告しています。また、ロイスマンら(Roisman, Padrón, Sroufe & Egeland, 2002)は23年にわたる追跡研究で、獲得された安定型の若者が、子ども時代や思春期に周囲から支えを受けていたこと、若い成人期に安定した親密な関係を築いていたことを報告しました。
| 段階 | 起きていること | 自分でできること |
|---|---|---|
| 1. 気づく | 自分がどこで不安になり、どこで離れるかが見え始める | 揺れた場面を書き出す。型の名前はそのための道具 |
| 2. 言葉にする | 過去の体験と今の反応のつながりを語れるようになる | 信頼できる人やカウンセラーに話す |
| 3. 違う行動を試す | いつもの作戦と違う動き方を小さく試す | 不安型なら確認を一回減らす、回避型なら一言だけ気持ちを伝える |
| 4. 安全な関係で上書きする | 応えてもらえる経験、離れても戻れる経験が積み重なる | 安定した相手との関係を大切にする |
| 5. 揺れても戻れる | 揺れること自体は残っても、戻ってくる時間が短くなる | 揺れた自分を責めず、戻れたことを認める |
変化を支えるもの
獲得された安定型の背景としてよく挙げられるのは、支えてくれる別の大人の存在、安定したパートナーとの長い関係、心理療法やカウンセリングで過去を言葉にした経験です。具体的な進め方は愛着スタイルの変え方、愛着の回復、愛着の改善で詳しく書いています。安定した相手に惹かれるようになる過程は安定型に惹かれるようになるにはへ。
年齢とともに変わる部分もある
大人の愛着は、年齢や人生の出来事とともに少しずつ動くことも報告されています。年齢による違いについては愛着と年齢で扱っています。「もう大人だから遅い」ということはありません。
医学の「愛着障害」と4分類の違い
「愛着障害 無秩序型 大人」という検索の言い方には、二つの別の概念が混ざっています。ここでは、当サイトの整理と医学の定説を層に分けて書きます。
医学の定説(公開された要約の範囲)
医学の診断体系(アメリカ精神医学会の DSM-5 など)でいう愛着の障害は、反応性アタッチメント障害と脱抑制型対人交流障害の二つです。どちらも、乳幼児期に養育者からの世話が極端に不足した、あるいは養育者が頻繁に変わったといった環境を前提とした、子どもの診断です。DSM-5 では、この二つは別々の障害として扱われています。診断基準の詳細はここでは載せません。診断は医師が行うものです。
当サイトの整理
愛着スタイルの4分類(子どもの A・B・C・D も、大人の質問紙の4分類も)は、一般の人の中にある個人差を表すもので、病気や障害の分類ではありません。無秩序型の子どもの多くは、反応性アタッチメント障害の診断には当てはまりません。また、大人の恐れ回避型や不安型は、それだけで何かの診断を意味するものではありません。ネットで「大人の愛着障害」と呼ばれているものの多くは、医学の診断名ではなく、愛着スタイルの不安定さを指す一般的な言い方です。この違いは愛着障害と愛着スタイルの違いで詳しく整理しています。
| 言葉 | 何を指すか | 誰が判断するか |
|---|---|---|
| 反応性アタッチメント障害・脱抑制型対人交流障害 | 極端に不足した養育環境を背景とする、子どもの医学的な診断 | 医師 |
| 無秩序・無方向型(D型) | ストレンジ・シチュエーション法で観察される乳幼児の分類。診断名ではない | 訓練を受けた研究者・専門家 |
| 未解決型 | AAIで喪失やトラウマの語りに一時的な乱れがある状態。診断名ではない | 訓練を受けた評定者 |
| 安定・不安・回避・恐れ回避 | 大人の親密な関係での傾向。診断名ではない | 自己回答の質問紙(目安) |
| 「大人の愛着障害」(一般的な言い方) | 多くは愛着スタイルの不安定さを指す通称。医学の診断名ではない | — |
自己診断をしなくていい
この記事の分類を読んで「自分は無秩序型だった」「未解決型に違いない」と決める必要はありませんし、決めることもできません。大切なのは型の名前ではなく、いまの生活でどんなことに困っているかです。困りごとが大きいときは、次の節の相談先を使ってください。セルフチェックとして使える目安は愛着障害チェックにまとめています。
専門家に相談する目安と相談先
分類を知ることは自分を理解する助けになりますが、分類だけでは解決しない苦しさもあります。次のようなときは、一人で抱えずに相談先を持ってください。
相談を考えたいサイン
- 親しい人との関係で、同じ別れ方や同じけんかを何度もくり返している
- 過去の喪失や虐待の記憶が、ふとした瞬間に強くよみがえり、生活に支障が出ている
- 人に近づかれると頭が真っ白になる、固まる、記憶が飛ぶような感覚がある
- 眠れない、食べられない、気分の落ち込みが2週間以上続いている
- 自分の子どもへの接し方で、止めたいのに止められないことがある
| 相談先 | 向いている状況 |
|---|---|
| 警察相談専用電話(#9110)・DV相談ナビ | いま暴力、脅し、監視を受けている |
| 児童相談所虐待対応ダイヤル(189) | 子どもへの虐待が心配 |
| 精神保健福祉センター・保健所 | まず誰かに話したい。どこに行けばいいか分からない |
| 心療内科・精神科 | 不眠や落ち込みが続く。トラウマの症状が強い |
| 大学の心理相談室・資格が明記されたカウンセラー | 過去の体験や関係のくせを、続けて言葉にしたい |
| 当サイトの相談室 | 愛着の傾向と人間関係の悩みを整理したい |
相談先の選び方
カウンセラーを選ぶときは、公認心理師や臨床心理士など、資格が明記されている人を目安にしてください。「愛着障害を必ず治す」と結果を約束するサービスや、初回から高額な回数券を勧めるサービスは避けたほうが安全です。選び方は愛着の悩みの相談先でも詳しくまとめています。心理療法の考え方はカップルセラピーと愛着も参考になります。
4分類を日常で役立てる — 型別のひとこと処方
最後に、分類を知ったあとで日常に持ち帰れる、小さな工夫を型ごとにまとめます。どれも、型を変えようと力むより、揺れたときに戻る道を一本増やすためのものです。
安定型の人へ — 相手の揺れを「自分への評価」と受け取らない
安定型の人は、不安型や回避型の相手の反応を、自分が何か間違えたしるしと受け取りやすいことがあります。相手の揺れは相手の歴史から来ていることが多い、と知っておくだけで、落ち着いて待てる時間が長くなります。
不安型の人へ — 確かめる前に、10分だけ待つ
不安が高まったとき、すぐに連絡して確かめたくなる衝動に、10分だけ間を置いてみます。その間に、自分の不安を紙に書く、深呼吸をする、別のことをする。不安の波は、何もしなくても少しずつ下がることを体で覚えるための練習です。不安型の回復も参考にしてください。
回避型の人へ — 離れる前に、一言だけ残す
一人になりたくなったとき、黙って離れるのではなく「少し一人で考えたい。明日また話そう」と一言残します。それだけで、相手の不安は大きく下がり、関係に戻る道が残ります。回避型の回復で詳しく扱っています。
恐れ回避型の人へ — 「怖い」と「嫌い」を分ける
近づかれて怖くなったとき、その怖さを「この人が嫌いになった」と取り違えると、関係ごと切りたくなります。「いま怖いだけで、嫌いになったわけではない」と心の中で言葉にすることが、衝動的に関係を終わらせないための支えになります。恐れ回避型の回復や恐れ回避型と信頼もどうぞ。
よくある質問
Q. 愛着スタイルの4分類とは、結局どれのことですか?
大きく3つの系統があります。乳児の観察による A 回避型・B 安定型・C アンビバレント型・D 無秩序型、大人の面接(AAI)による自律型・愛着軽視型・とらわれ型・未解決型、大人の質問紙による安定型・とらわれ型・拒絶回避型・恐れ回避型です。恋愛や人間関係の記事で使われるのは、多くの場合3つ目の質問紙の4分類で、当サイトの4タイプもこれにあたります。
Q. 恐れ回避型と無秩序型(混乱型)は同じですか?
同じではありません。恐れ回避型は大人の自己回答の質問紙で測る、不安も回避も高い一貫した傾向です。無秩序型はもともと乳児の観察で見られる、愛着の作戦が一時的に崩れる状態を指します。研究者は、大人の無秩序な愛着を測るには恐れ回避型とは別の物差しが必要だと論じています。重なる部分はありうるものの、イコールではありません。
Q. 未解決型とは何ですか? 自分で分かりますか?
成人愛着面接(AAI)で、喪失やトラウマについて語るときだけ、語りの筋道や時間の感覚が一時的に崩れる状態を指す分類です。ほかの3分類に上から重ねて判定されます。訓練を受けた評定者が面接の逐語録を読んで判定するもので、自己回答のテストで分かるものではありません。
Q. 愛着スタイルの4分類の割合はどれくらいですか?
一般の人を対象にした研究では、安定型がおおむね半分から6割前後です。乳児の国際比較では安定65%・回避21%・アンビバレント14%、アメリカの成人の全国調査では安定59%・回避25%・不安11%でした。当サイトの診断48,423人では、安定型30.0%・不安型15.6%・回避型13.7%・恐れ回避型40.7%で、悩みを持つ人が多く訪れるため安定型以外が多くなっています。
Q. 安定型と回避型の混合のように感じます。混合型はありますか?
正式な「混合型」という分類はありませんが、その感覚は研究の見方と一致しています。大人の愛着は、はっきり分かれた型より、不安と回避の2つの連続した量として表すほうが合っていると報告されています。安定型と回避型の境目の近くにいる人は、両方の説明に当てはまると感じやすくなります。
Q. 子どものころ無秩序型だった人は、大人になっても変わりませんか?
変わる余地は大きいです。20年間追跡した研究では、安定か不安定かの大きな区分が同じだったのは72%で、人生の大きな出来事があった家庭では区分が変わる人が多くいました。つらい子ども時代を経ても、支えてくれる人や安定した関係、心理療法などを通じて「獲得された安定型」になる人がいることも報告されています。
Q. 無秩序型や恐れ回避型は「愛着障害」ですか?
いいえ。医学でいう愛着の障害(反応性アタッチメント障害など)は、極端に不足した養育環境を背景とする子どもの診断で、医師が判断します。無秩序型や恐れ回避型は、一般の人の中にある個人差の分類で、診断名ではありません。生活に支障が出るほど困っている場合は、医療機関や精神保健福祉センターに相談してください。
Q. 自分の愛着スタイルは、どうやって見分ければいいですか?
相手の気持ちが見えないときにどれだけ落ち着かなくなるか(不安の軸)と、相手が近づいてきたときにどれだけ窮屈に感じるか(回避の軸)を、普段の自分で考えてみるのが出発点です。関係ごとに分けて考え、最後に質問紙で確かめると、自分の位置がつかみやすくなります。
出典と確認範囲
- ストレンジ・シチュエーション法と A・B・C の分類: Ainsworth, M. D. S., Blehar, M. C., Waters, E., & Wall, S. (1978). Patterns of Attachment: A Psychological Study of the Strange Situation. Erlbaum.
- 乳児の分類の国際比較: van IJzendoorn, M. H., & Kroonenberg, P. M. (1988). Cross-cultural patterns of attachment: A meta-analysis of the Strange Situation. Child Development, 59, 147–156.
- 無秩序・無方向型: Main, M., & Solomon, J. (1986). Discovery of an insecure-disorganized/disoriented attachment pattern. In T. B. Brazelton & M. W. Yogman (Eds.), Affective Development in Infancy (pp. 95–124). Ablex. / Main, M., & Solomon, J. (1990). Procedures for identifying infants as disorganized/disoriented during the Ainsworth Strange Situation. In M. T. Greenberg, D. Cicchetti, & E. M. Cummings (Eds.), Attachment in the Preschool Years (pp. 121–160). University of Chicago Press.
- 親の未解決の体験と無秩序型: Main, M., & Hesse, E. (1990). Parents' unresolved traumatic experiences are related to infant disorganized attachment status. In Greenberg, Cicchetti, & Cummings (Eds.), Attachment in the Preschool Years (pp. 161–182).
- 無秩序型の割合と予後: van IJzendoorn, M. H., Schuengel, C., & Bakermans-Kranenburg, M. J. (1999). Disorganized attachment in early childhood: Meta-analysis of precursors, concomitants, and sequelae. Development and Psychopathology, 11, 225–249.
- 6歳の再会反応: Main, M., & Cassidy, J. (1988). Categories of response to reunion with the parent at age 6. Developmental Psychology, 24, 415–426.
- 成人愛着面接: Main, M., Kaplan, N., & Cassidy, J. (1985). Security in infancy, childhood, and adulthood: A move to the level of representation. Monographs of the Society for Research in Child Development, 50(1–2), 66–104. / Main & Goldwyn の評定・分類マニュアル(カリフォルニア大学バークレー校、未刊行)。
- AAI の分布: Bakermans-Kranenburg, M. J., & van IJzendoorn, M. H. (2009). The first 10,000 Adult Attachment Interviews. Attachment & Human Development, 11(3), 223–263.
- 大人の質問紙の3分類: Hazan, C., & Shaver, P. (1987). Romantic love conceptualized as an attachment process. Journal of Personality and Social Psychology, 52(3), 511–524.
- 全国代表サンプル: Mickelson, K. D., Kessler, R. C., & Shaver, P. R. (1997). Adult attachment in a nationally representative sample. Journal of Personality and Social Psychology, 73(5), 1092–1106.
- 4分類: Bartholomew, K. (1990). Avoidance of intimacy: An attachment perspective. Journal of Social and Personal Relationships, 7, 147–178. / Bartholomew, K., & Horowitz, L. M. (1991). Attachment styles among young adults: A test of a four-category model. Journal of Personality and Social Psychology, 61(2), 226–244.
- 2次元モデル: Brennan, K. A., Clark, C. L., & Shaver, P. R. (1998). Self-report measurement of adult attachment: An integrative overview. In J. A. Simpson & W. S. Rholes (Eds.), Attachment Theory and Close Relationships (pp. 46–76). Guilford. / Fraley, R. C., Waller, N. G., & Brennan, K. A. (2000). An item response theory analysis of self-report measures of adult attachment. Journal of Personality and Social Psychology, 78(2), 350–365. / 中尾達馬・加藤和生(2004)「成人愛着スタイル尺度(ECR)の日本語版作成の試み」『心理学研究』75(2), 154–159.
- 型か連続量か: Fraley, R. C., Hudson, N. W., Heffernan, M. E., & Segal, N. (2015). Are adult attachment styles categorical or dimensional? Journal of Personality and Social Psychology, 109(2), 354–368.
- 面接と質問紙の関係: Roisman, G. I., Holland, A., Fortuna, K., Fraley, R. C., Clausell, E., & Clarke, A. (2007). The Adult Attachment Interview and self-reports of attachment style: An empirical rapprochement. Journal of Personality and Social Psychology, 92(4), 678–697.
- 大人の無秩序な愛着と恐れ回避型の区別: Paetzold, R. L., Rholes, W. S., & Kohn, J. L. (2015). Disorganized attachment in adulthood: Theory, measurement, and implications for romantic relationships. Review of General Psychology, 19(2), 146–156.
- 変化と獲得された安定型: Waters, E., Merrick, S., Treboux, D., Crowell, J., & Albersheim, L. (2000). Attachment security in infancy and early adulthood: A twenty-year longitudinal study. Child Development, 71(3), 684–689. / Pearson, J. L., Cohn, D. A., Cowan, P. A., & Cowan, C. P. (1994). Earned- and continuous-security in adult attachment. Development and Psychopathology, 6(2), 359–373. / Roisman, G. I., Padrón, E., Sroufe, L. A., & Egeland, B. (2002). Earned-secure attachment status in retrospect and prospect. Child Development, 73(4), 1204–1219.
- 医学の愛着障害: アメリカ精神医学会 DSM-5 の反応性アタッチメント障害・脱抑制型対人交流障害(公開された要約の範囲で言及。診断基準の本文は掲載していません)。
- 当サイトの実数: 愛着×性格の実測データ(2026年9月27日時点)。
- この記事は診断や治療に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は医療機関や公的な相談窓口へ。監修: 臨床心理士。
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自分がどの位置にいるのか、まず確かめるところから
不安と回避、2本の物差しで見ると、自分の揺れ方が少しずつ見えてきます。型の名前は、変えていくための現在地です。
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